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財務会計であり、解説した減損会計は財務会計の新会計基準の一つ(減損会計という国際統一基準の下で外部の株主・投資家や金融機関などの利害関係者に企業の固定資産運用の活動実態をみてもらうための会計制度)です。 つまり、財務会計の目的は、企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)に対して企業活動の実態としての会計情報を提供するための会計といえます。

では、これら企業を取り巻くステークホルダーが財務会計の結果情報を通じて得たい要素をみてみましょう。 株主・投資家にとっては企業の最終利益の配分つまり配当がどうなるのか?今後、この企業に投資し続けてもよいか?あるいは、新規投資すべきか?の判断材料になります。
国・地方公共団体にとっては、税金徴収のベースになります。 金融機関・債権者にとっては、元金・利息回収、新規融資の判断材料になります。
取引先・仕入先・顧客にとっては、経営の安定度や企業信頼性の目安になります。 社員・労働組合にとっては、賃金など労働条件交渉における必要原資の把握や経営内部監査のための重要情報になります。
経営者にとっては、会計年度における企業活動の結果状況や株主や債権者から委託された企業の財産保全・運用の状況が明らかになり、新たな経営判断材料になります。 その他、債務者や地域社会といった利害関係者が存在しますが、財務会計がもたらす影響はいうまでもありません。
これに対し、管理会計は.法律とは関係なく企業内部で独自に設けるルールで、経営管理上必要な会計情報を提供するための会計であり、社内の経営計画策定、統制を目的にしています。 情報を提供する対象は経営者および管理者です。
管理者は企業の機能別組織において担当する組織の経営者とみればよいでしょう。 経営機能、たとえば、物流や販売、研究・開発、広報、人事労務、等々の機能別に経営管理や意思決定を行うにはそれぞれの機能ごとの経営計画・統制が必要です。
管理者は白組織の事業活動を計画・統制することによって効率的にかつ最大利益が上がるように最適化を目指します。 これを部分最適とすれば、企業経営者はこれら管理者を統合して全体最適を図る役割lと考えればよいわけです。

管理者において部分最適経営者においては全体最適を目指すための会計情報として、財務諸表のもたらす会計情報は全社一本のため、部分の詳細把握には不十分です。 かといって財務会計を無視した全く違う会計基準による管理会計・はありえません。
財務会計の構造は会計全体を支配しているからであり、部分最適の結果としての利益を合計した金額と、財務諸表で全社として算出された期間利益額が不一致ということはありえないし、あってはならないのです。 また、財務会計の数値を使って各種の分析指標を算出することが管理会計というわけでもありません。
経営分析・財務分析を行う上で必要ですが、意思決定を行うには財務会計による分析指標だけでは情報が少なすぎるからです。 取り上げたファシリテイコストの定義を再度みてみましょう。
ファシリテイコストとは「組織体(企業・団体など)が事業を展開するために所有もしくは賃借するファシリティ[施設および施設利用者の環境(執務空間・居住空間・環境空間・情報空間)]の維持・運用・管理に、直接または間接に要する費用(取得は除く)」と定義されています。 つまり、ファシリティの維持・運営・管理に要する費用であり、この費用について効果的かつ必要最小に抑えることがファシリテイコスト・マネジメントであり、社内のファシリテイコストに関する経営計画策定・統制を目的とする限りにおいて管理会計に基づいているといえます。
そして、ファシリテイコスト・マネジメン卜は、そのマネジメントを行う部門が存在して始めて有効で、あり、部門管理者が部分最適を目指すものであることがわかります。 では、日本の企業で、ファシリテイコスト・マネジメントを行う部門とは、機能別組織でいうと、何部門なのでしょうか?経営戦略研究部会が2002年1月に上場企業2000社に対して実施したアンケートの結果からも明らかなように、日本では「総務部」がこの役割を担っていると思われます。
しかし「総務部」の役割の第一は株主総会対応と応える企業が多いようで、ファシリティの管理やファシリテイコスト・マネジメントは、庶務・営繕的に第二義的に実施されているのが実情のようです。 バブル経済は崩壊し、減損会計時代がまもなくやってくる現状において、人件費に次ぐような大きな経費であるファシリテイコストについて、もっと能動的に対応しなくてよいのでしょうか? FMは、まだまだ日本企業にはあまりなじみのない言葉です。
これについてカタカナ言葉でなく、日本の熟語で表現できないか昔から議論されてきました。 たとえば、「ファシリティ」を「施設」と和訳し、「マネジメント」を「管理」と訳して「施設管理」と呼ぶ方法です。
しかし、「ファシリティ」は単に施設だけを指すのではなく、「施設利用者の環境(執務空間・居住空間・環境空間・情報空間)」を含めた総合的な概念であり、「マネジメント」は単なる管理(統制コントロール)ではなく「経営的視点から総合的に企画・管理する経営管理手法をいう」となれば、少し趣が違ってくるのです。 FM推進連絡協議会が編集した「ファシリティマネジメント・ガイドブック(第2版)、」の中にこの違いを端的に説明した部分があります。

従来の施設管理を伝統的施設管理と呼んでFMと比較すれば、前者は現場管理・対症療法的で既存施設の維持保全を目的とするのに対し、後者は経営戦略的であり、経営資源としてのファシリティを全体として最適化するために事前に計画予防していくのです。 さらに戦略的FMともなれば、FMが経営戦略的である上にさらに戦略的要素が加わるわけです。
FMの中心はオフィスであり、オフィスはヒト、IT、組織、業務プロセス、ワークスタイルそしてファシリティという要素の組合わせで決まります。 これらの要素を最小のコストを使って最大の効果を上げる組み合わせを考え、運用していくことがオフィスの最適化につながりますがこれを能動的に実行していくのが戦略的FMなのです。
先述したように日本型総務部がこの戦略的FMを明日から計画実行できるかというと、かなり難しいでしょう。 それは、伝統的施設管理にみるように、たとえば、毎年春に定期的な組織改正と人事異動を行う企業であった場合、新しい組織図がほぼ決定し、人事異動が発令される段階になって総務部に連絡があり、オフィスの移動対処が始まるという光景が当たり前になっているとします。
前年実績に基づいた予算の中で、新組織の各部門長からのレイアウトに関する要望を取り入れて何とかドタパタと対応していくのが関の山。 とても、それ以上のことは考える余裕も、対応できる人数もいないというのが実情ではないでしょうか?もし、経営戦略的に、組織改正や人事異動の議論に最初から入ってFMの側からの要望・意見を取り入れていけるのならば、状況はガラッと変わります。
しかし、あるべき論の展開の上で説得性を持つのはやはりコスト・財務に関するデータに基づいた論理展開です。 オフィスの要素にはヒトも組織もワークスタイルもITも入ります。

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